「最高殊勲夫人」と制作年度は僅か一年の違いで
こっちが先。
一時的不況から岩戸景気に乗り始めた慌ただしい時節。
増村保造監督の才気が迸りエネルギッシュ極まりない。
芥川賞を取る前の開高健原作。
乗り遅れる奴は置いて行くぞとばかりに、スピーディーにスラップスティックに目まぐるしい。
アクの強い業界人達が、遮二無二、東奔西走。
キャラメル販売競争が激化するにつれ、宣伝費は惜しげなくエスカレート。
営業課長はシャブと脳神経安定剤をチャンポンに服用し昇進し得たものは血反吐。
劇中もさることながら、シークエンスごとの作り込みが病的なまでの拘りで、劇中の宣伝費さながらに制作費もグングンと跳ね上がっていったのではないか。
映画業界も劇中同様に三つ巴の戦争状態にあったのだろうと容易に想像が付く。
コンプライアンスとか生暖かい言葉で守られているかのような現代と60年間もの大昔とストレスの総量はどちらが大きいのだろうか。
♬殺して流した赤い血は
土人の女に売り付けろ
喜ぶとことは請け合いだ〜♬
オリジナルのエキゾチックサウンドも素晴らしい。
ラストカットの見事さに鳥肌。
〜〜
しっかし、若かりし日のスポーツ刈りの青年と探検隊のおっさん。
何度見ても川口浩が被ってこない。
増村作品をもうちょい見進めたら、最近文庫上下で出た「増村保造の世界」を買ってみよう。