むさじー

巨人と玩具のむさじーのネタバレレビュー・内容・結末

巨人と玩具(1958年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

<競争社会の歯車に巻き込まれた人間の悲哀を描く>

高度成長期の宣伝合戦、それは企業間競争であると共に、マスコミがどんどん肥大化していた時代でもあり、誇張と思いながらも熱気がうかがえる。
社会派コメディ映画と言うのだろうが、社会派映画としてはやや陳腐だが、コメディとして見ると傑作に思える。
まさにシステムという“巨人”の中に人間と言う“玩具”が弄ばれている様が描かれるわけだが、その中では、製菓会社の販売戦略として素人娘がスターに仕立て上げられ、その結果貧乏暮らしの家庭が豹変し、その裏には体を壊してまで出世しようとする人間の悲哀がある。
ライバル会社に勤務する男女の恋愛があり、友情の破綻もある。
脇には諦観したカメラマンがいて、マスコミの本流になる女性テレビディレクターが登場して、時代の空気感を伝え、風刺を盛り上げる。
映画自体は素材の古さが否めず、再評価云々という作品ではないが、キャラの豊かさ、テンポの良さで十分楽しめる映画になっている。
むさじー

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