こたつむり

ウルヴァリン:X-MEN ZEROのこたつむりのレビュー・感想・評価

ウルヴァリン:X-MEN ZERO(2009年製作の映画)
3.8
★ X-MENスピンオフ第1弾「月食」
  空に浮かぶ月。
  やがて雲に覆われ、闇は拡がり、
  もう君はいない。

本作は『X-MEN』三部作の前日譚。
これまで明らかにされなかった《ウルヴァリン》の過去が判る物語。個人的には「キター!」という気分でしたよ。《ウルヴァリン》はヒュー・ジャックマンの個性と重なって、結構好きなのです(一応、三部作の主人公ですし)。

だから、ある意味で不安でした。
前日譚で大切なのは「へえ、そうだったんだあ」と“納得”できること。それには観客と製作者側の《ウルヴァリン》のイメージが同じであることが重要です。物語の構成に凝り過ぎて「え。そんなの彼じゃない」なんて思ってしまったら、その時点でアウトなのです。

でも、それは杞憂でした。
《ウルヴァリン》は昔から《ウルヴァリン》でしたし、前作『ファイナルディシジョン』では感じなかった“哀しみの感情”も大切にしていました。やはり、前日譚で無理に世界観を拡げる必要はないですね。丁寧に登場人物を描くだけで良いのです。

だから、物語の時系列順で鑑賞しなくて正解でした。これは『X-MEN』三部作を先に鑑賞したほうが楽しめる作品。あと、本作の事前情報を仕入れないことも大切ですね。何しろ、既知の情報が増えるだけで“納得”が“確認”になってしまうのです。

そう考えると前日譚って取り扱いが難しいですね。不用意な一言で誰かの楽しみを奪うかも…なんて考えてしまうと、感想を書くことも難しいです。まるで地雷原の真ん中にいる気分ですな。

それでもギリギリの部分を攻めるとしたら…。
『X-MEN』三部作で哀しい扱いだった“彼”にも見せ場があった…と書くのもネタバレでしょうか。まあ、あれを見せ場と判断するのか…という問題もありますが。でも、登場しただけで「おいしい」と思えるキャラクタは滅多にいないと思います。

まあ、そんなわけで。
思う存分「へえ、そうだったんだあ」を楽しめる良作。しかも、鑑賞後にウィキペディアを読めば、更に理解が深まるオマケ付きですよ。ちなみにそれで知りましたが“あのキャラクタ”も本作に登場していたのですね。あれ?でも物語は繋がっていないのかな?

To be continued… →→→ 『X-MEN ファーストジェネレーション』
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