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博徒七人のtosyamのネタバレレビュー・内容・結末

博徒七人(1966年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

まさに歴史上の陰謀おおき。時代の黎明薄明期。明治期のオモテムキイケイケな帝国期大日本。修羅雪姫でもおなじみなおいしすぎる時代設定。暗黒時代。無法地帯。官権がほとんどおよばない機能しない無法地帯だらけで非情無情時代の設定だからこその痛快なそしてダークゴシックなおもしろさがここにはある。おちこぼれのさらにおちこぼれ。わすれられたヒトビト。バリアフリーヤクザ群像。これはもう特撮映画の怪獣たちそのものである。野性と純情しか何ももちあわせていないそんな魅力あふれる素材が子供うけするダークヒーローキャラへ。バリアフリーヤクザ。連呼さえしよう。それをいいことに彼らを道具のようにつかいすてては終末無法世界をぎゅうじろうとするネルフのような暗黒軍隊組織。憎々しいったらありはしない。さながら東宝の怪獣総進撃のような怪獣映画だ。あれでは怪獣が侵略の道具に使われる。仮想シマナガシ場オキノシマはまさに怪獣ランドである。第四新東京市である。怪獣と組織しかいないところがほんとうにすばらしい。警察権力公権力は最後の最後にちゃかされてでてくるにすぎない。この脚本さすがだ。県警対組織暴力の萌芽をみた。権力とはの意識的対象化がなされているからこそできる作劇術だ。そしてえがかれる野性と純情。それは義理人情どころではない。さらに昇華されきっている。男。男。男。の世界である。爽快きわまりない。花をそえる松尾嘉代の頭の丸丸丸な点点点な女郎がまた最高である。つねにはんびらきの口元。が。これはあまりにも表現上危険すぎるとふんだのだろうスタッフ。設定上も台詞上も説明皆無。巧妙な演技でにおわせるだけにとどめている。そんなつもりなのだろうがどっこい筆者はみぬいた。彼女もうひとりのバリアフリーである。だから指輪のくだりも自然だ。裏タイトル博徒八人である。荒野の七人のようにメンバーいれかえつつシリーズ化してほしかった。しらべると続編があるらしい。しかし。封印。残念。とにかく見事な演技演出脚本である。日本沈没73年版とならぶ火薬量も豊富なダイナマイト映画のかくれ傑作でもある。忍者部隊月光のような戦時忍者映画としてもみれるし。船上バトルや海中バトルはないけれど島も海の一部とかんがえれば立派にパイレーツオブカリビアンな海賊映画でありナバロンの要塞のような海洋アクション冒険小説映画化活劇ともとらえることができる。感動シーンも恋愛もある。超おとくな一本。音楽もすばらしい東映戦隊ヒーロー路線の超異色作。なぜそういうかというと。宣伝ポスターの七人のキャラそれぞれにつけられたキャプションがふるっているからだ。キャラ名の次に障害部位と必殺技がならべてかかれている。のだ。続編になると障害のない必殺技だけの新加入キャラもでてくるのだが。それも七人のメンバーとしてキャプションがつけられ紹介されている。障害のない場合は必殺技だけを表記。ということは障害と必殺技はセットということだ。つまり障害があればこその必殺技。日常不便な欠損部位に非日常戦闘武器をアダプトした。障害をおぎなうどころかヘンに増強してしまい人間ばなれな非日常身体になってしまっている。これではまさにサイボーグそう改造人間ではないか。sfではないか。そう本作はサイボーグ009ならぬサイボーグ007いやそれをいうならサイボーグ00893か。それも実写版それも東宝のエスパイのような大人仕様。そんな作品である。すごいではないか。もう筆者のような特撮爺には今年封切リアルタイム作品かよな。ど真中ストライクな一本。まったくふるさをかんじない。ちょっと冷静になろう。そういえば仮面ライダーや海底大戦争などなど改造人間物って東映おとくいのジャンルだった。とにかくそんな今の東映をだれしられず。きずきあげたまさにカゲの功労者。いや功労作。それが本作。さらにどんどんしらべていくとネタバレまでされてて。主人公殉職やメンバー全滅で。とかではなく戦えマイティジャックのようにメンバー中一番の純朴善人あいされキャラの死で。シリーズ終焉というのもまたなかせてくれるじゃないか。
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