ユミコ

小間使の日記のユミコのレビュー・感想・評価

小間使の日記(1963年製作の映画)
-
ヒロインは、パリから田舎の中産階級の屋敷に雇われやってきた小間使いのセレスティーヌ(ジャンヌ・モロー)。この名前、初めて聞いた気がしないと思ったら、以前観たブノワ・ジャコー監督作「あるメイドの密かな欲望(同原作…!)」のセレスティーヌ(レア・セドゥ)だった。どちらも感情を表に出さないクールな眼差しの彼女たちだったが、より何事にも何者にもビクともしないセレスティーヌを演じていたのは、コチラのブニュエル監督作のジャンヌ版セレスティーヌの方だった。普通の女子なら動揺してしまいそうな場面に遭遇しても彼女はドライにそれらをあしらえる。
この屋敷の者や携わる者たちは、バラエティに富んだくせ者がズラリと揃えられていた。ブルジョワの方々ってこんななんだ? なんてつい思わせられてしまいそう 笑、、婿養子の主人はいつもセレスティーヌにセクハラするクズ夫だし、その妻は口やかましく神経質なおばさんだし、この妻の年老いた父親は無類の靴好きで、小間使いのセレスティーヌにコレクションの靴を履かせてウットリしているし、下男のジョゼフはゴミクズ以下だし… こんな者たちにも動じないクールなセレスティーヌだからこそ、ここでの小間使いが勤まったのでしょう。
そんなある日 その変態系靴フェチのブルジョワ爺が突然死んでしまう。セレスティーヌが履いたあとの大好きな靴を持ったまま…。これを期にセレスティーヌはこの家での仕事を辞めることにした。しかし同じ日に、近所に住む少女が森の中で強姦された後、呆気なく殺された…。セレスティーヌが常日頃から可愛がっていた少女だった。彼女はいたたまれない気持ちから、少女を殺害した犯人を捕らえようと決め再びこの家で小間使いを続けることに。もうホシは割れているの…と言わんばかりのセレスティーヌ。彼女独特の正義感がカッコイイ…。
劇中、出会う男全員が彼女に惚れていたけれど、女の私も惚れてしまいそうなセレスティーヌのジャンヌさま。頭のてっぺんからつま先まで、更には彼女の伝線したストッキングまで、そしてラストまで全てジャンヌ=セレスティーヌだった。
ユミコ

ユミコ