デニロ

おかえりのデニロのレビュー・感想・評価

おかえり(1996年製作の映画)
4.0
1996年製作公開。脚本篠崎誠、山村玲。監督篠崎誠。

上村美穂という俳優を配したことで成功している。彼女の表情は、もはや別の世界に行き来する満足感に溢れていて、あやしい。

何かをしなければ危ういという強迫観念の如きものを感じる時がある。とりわけいつも歩いている道の車止めを右に入るか左に入るか。その場所に来ると気になってしまい、いつも通りに進んでいくのだが、不図、逆ではないかと思い悩みやり直したりする。そうしないと何かよからぬことが起こるような気がして。そんなことをしながら、まいっているなと思う。

彼女は組織に追われているにもかかわらずみまわりに出る。見つかるリスクが高いのではないか。でもそうせずにはいられない、、、わたしは解ってしまう。

篠崎誠という監督は初めてかと思っていたが、2000年『忘れられぬ人々』という作品を観ていた。その年の鑑賞記録で『ターン』に続く高評価をしている。上村美穂のその後は杳として知れない。

国立映画アーカイブ 1990年代日本映画――躍動する個の時代 にて
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