あしからず

阿賀に生きるのあしからずのレビュー・感想・評価

阿賀に生きる(1992年製作の映画)
4.3
生きることそのものを高純度で映し出す。生命の川が死の川となりまた生の川へと蘇る不変性。阿賀に生きる、であり阿賀に生かされている、であり。
水俣病の原因の場を一方悪としないのはそこで暮らす人々だからこそ。遠足に行くような和やかさで裁判所に向かうおばちゃんたち。
劇的なカット割の妙が被写体を存分に引き立てる。集会の記念撮影でフィルムがなくなった所など神。幻想的なかぎ流しのショットから眠る長谷川さんへの繋ぎのドリーム。船作りのアングルも良い。
まるで手足のように船を操る姿が途方もなく美しかった。加藤さんがお餅運んでから流しで手を洗うムダのない動線に感心のため息。
ゆっくりと動くおじいちゃんおばあちゃんを丁寧に捉える目線は、彼らの生きてきた長い時間を同時に切り取っていた。
あしからず

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