まーしー

ナチュラル・ボーン・キラーズのまーしーのレビュー・感想・評価

2.0
内容、映像、メッセージのいずれを取っても、他にはあまり類を見ない衝撃的な作品。鑑賞後に疲れがどっと出て、半ば放心状態になったほど。

父親から性的虐待を受けている女性。ある日、家に宅配に来た男性と恋に落ちる。二人はやがて女性の両親を殺害し、移動する先々でも殺人を犯す、というストーリー。
ストーリーも衝撃的な内容だが、本作の最大の特徴はその映像だろう。カット割りが多いうえ、カットの度にモノクロ、カラー、アニメーション等に映像が切り替わる。そして、目の前でショットガンをぶっ放して人を殺すバイオレンス描写。父親が性的虐待をほのめかす場面は、なぜか「観客を前にした舞台上」という演出。

こうした特徴ある数々のシーンが、知らず知らずのうちに脳内に刷り込まれているような感覚に陥った。殺人は決して許されるものではない。しかし、主演2人の純愛や殺人を是とする行動を完全否定することもできないような、不思議な感覚。「脳内麻薬」という言葉が適切かも知れない。
実際、アメリカではカップルによる模倣犯が出て、社会問題になったようだ。

監督はオリヴァー・ストーン。そして、脚本はクエンティン・タランティーノ。
この2人の名前を聞いて合点がいく作品だった。好き嫌いがはっきり分かれる作品だろうが、少なくとも私の好みには合わなかった。