8bit

ナチュラル・ボーン・キラーズの8bitのレビュー・感想・評価

4.0
オリジナル脚本を勝手に改変されてタランティーノが怒ったという事実に引っ張られて、過剰に嫌われている感のある映画ですけど。自分は好きだなあ。
タランティーノ云々は一旦置いといて、フラットな目線で観る事をおすすめします。

メディアの力によって殺人カップルがヒーローに祭り上げられてゆく様を、古今東西のありとあらゆるフッテージと、ありとあらゆるジャンルをコラージュした音楽を駆使して極上のサタイアとして描いています。
ここまでの熱量と物量で圧倒してくるバイオレンス映画は後にも先にも唯一無二だと思います。とにかくワンカットワンカットの情報量がハンパない。90年代という時代、オリバー・ストーンだからこそできた映画。
当時アメリカでこの映画に影響されたカップルが銃撃事件を起こし、死者まで出たのは有名な話。

演出もさることながら、なんといってもキャスト陣の狂いっぷりこそが一番の見所。
いまをときめくあんな人やこんな人がビックリするような演技を披露してくれてます。

ウッディ・ハレルソン…『スリー・ビルボード』の署長に涙した方には是非ともご覧いただいて、ドン引きしていただきたい。
ロバート・ダウニー・ジュニア…『アイアンマン』の社長のイメージしかないという方には是非ともご覧いただいて、ドン引きしていただきたい。
個人的には彼はこういう危ないキャラの方が断然ハマッていると思う。自らの番組を持つ犯罪ジャーナリスト。吹き替え版だと大塚芳忠さんなので、「バンキシャ!」っぽい。
トミー・リー・ジョーンズ…某CMや『ノー・カントリー』などの枯れた名優という印象しかないという方には是非ともご覧いただいて、ドン引きしていただきたい。
ジュリエット・ルイス…この頃が一番可愛かった。なぜか腋毛がボーボーなのが気になる。

音楽もとんでもない事になっています。
ロック、フォーク、クラシック、レゲエ、ヒップホップ、テクノ、民族音楽などなど多岐にわたる楽曲がコラージュされ全編に散りばめられています。
サントラも凄くて単に使用された楽曲を並べるようなものではなく、ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーが楽曲や劇中のセリフ、SEなどを編集し、映画そのものをサントラ上で再現したようなサウンドコラージュ作品を作り上げています。
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