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私は死にたくないのほーりーのレビュー・感想・評価

私は死にたくない(1958年製作の映画)
3.9
【スーザン・ヘイワード、一世一代の大役】

実在の死刑囚バーバラ・グレアムの半生を描いた『私は死にたくない』。劇中では完全に冤罪として描かれているが、かなりフィクションの部分もあるそうな。

この作品も随分長い間、ソフト化されなかったけど去年やっとディスクが出た作品。とはいえ僕は昔BSでやっていたのを録画してたので手元にはあった。

監督はロバート・ワイズ。主演は本作でアカデミー賞を獲得したスーザン・ヘイワード。

受賞のあまりの嬉しさに「私はこのまま死んでしまいたい」と言ったというけど、こういうウィットっていいなぁと思う。

札付きの女だったバーバラ・グレアム(演:スーザン・ヘイワード)は、夫が家を飛び出してしまい、生活費を工面しようと昔のワル仲間のところへ訪れる。

そこが運命の分かれ道で、実は男たちはある未亡人の強盗殺人事件を起こしていて、たまたま尾行していた警察によって一緒にいた彼女も逮捕される。

無実を主張するバーバラだったが、犯行当時のアリバイを証明するものは何もなく、焦った彼女は同じ留置場にいた女囚からアリバイを捏造してあげるとの提案にのっかってしまい……。

内容は重苦しいが、BGMのジャズにのせて、ワイズ監督によるシャープな語り口で、ストーリーがサクサク進む感じを受ける。

そんでもってクライマックスでガスによる処刑シーンをじっくりと描写するなど、メリハリの効いた演出になっている。

それにしても脇を演じるのが、サイモン・オークランドとセオドア・バイケルの二人というのは何とも渋すぎるキャスティングではないかと思う。

個人的にはバイケルによる見せ場をもう少し描いた方が、ラストの主人公の絶望がもっと際立つような気がした。

■映画 DATA==========================
監督:ロバート・ワイズ
脚本:ウォルター・ウェンジャー
製作:ネルドン・ギディング/ドン・マンキーウィッツ
音楽:ジョニー・マンデル
撮影:ライオネル・リンドン
公開:1958年11月18日(米)/1959年3月3日(日)
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