ちゃこ

ノートルダムの鐘のちゃこのレビュー・感想・評価

ノートルダムの鐘(1996年製作の映画)
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映画は過去に何度も見ておりまして、今回のレビューは劇団四季の公演の感想になります。まとめておくところがないため、こちらに書かせてもらいます。映画じゃないんです笑

舞台だからスコアとかなおさらつけられないよ……!


2018/04/10 火 KAAT神奈川芸術劇場
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ディズニーアニメーションをベースにしているとはいえ、それは楽曲やキャラクターを作る点であって、ストーリーなどはVユーゴーの原作に寄せてあった。
そのため、アニメよりも残酷さのある描き方をしていた。

タイトルはアニメの
× The bells of Notre-Dam
ではなく
× Notre-Dam de Paris
でもなく、
◯ The Hunchback of Notre-dam

フロロー(野中万寿夫さん)はむしろ、非常に人間的。過去が描かれていて、カジモドを育てることになった経緯が人情味あるストーリーだった。野中さんのもともと持つ父親らしい包み込むような雰囲気が合っていた。彼が可愛そうに、哀れに思えて。

アニメーションでフィーバスが登場したシーンのメロディが一曲に広げられてて嬉しかった!フィーバスかっこいいし、頭に残ってしまう。
フィーバス、韓国出身の俳優さんたちなのね。イケメン、高身長。一度だけ発音に違和感あるときがあったけど、それ以外は非常に上手で、あんまり韓国出身って気づかれなさそう。韓国人俳優さんたちも優秀な人多いからね〜、国籍関係なく活躍してほしい。

フィーバスとカジモドの友情のようなものは薄かった。あれはアニメオリジナルの設定だったのかな。ちょっとはあったけど、アニメほど仲良くなさそう。

それぞれのキャラクターの人生と価値観と信念が交錯するストーリーだったため、そこがレミゼとの共通点で、ユーゴーの特徴なのだな、と気づいた。

オーヴァチュアや間奏曲で、人の声から始まるのは珍しい。(ライオンキング(LK)の二幕はアカペラズールー語の曲から始まる)
しかしながら、今作ではアンサンブルとは別に聖歌隊というキャストもいる。
4人×2列(男女)×2(左右)の合計16人。
聖歌隊がオーケストラ(生演奏ではなかったけど)の一員と思えば、ある意味特殊ではないのかも。LKのパーカッションと同じポジションっぽい。

聖歌隊の歌声、きれいだったぁ✨
なにげに高井治さん潜んでるし……!

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もともとノートルダムのストーリーって、美女と野獣の野獣が勝手に恋をして叶わなかったような話。(ザックリ言い過ぎ)
美女と野獣といえば、シェイプ・オブ・ウォーターなわけで、あの話の美しさや世界観にまた浸りたくなってしまった。

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こじんまりとした舞台セット、KAATの舞台と客席の距離の近さが良い味を出していて、臨場感もあり想像力も掻き立てられた。
セット交換もなく、目の前にとある一座が来て劇を見せてくれているような雰囲気。劇中劇っていう見せ方だね。それはアニメと一緒だ。
語りがアンサンブル、役者本人たちだったので、クロパンの影が薄かった。

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【ネタバレかも?】

カジモド。なんといっても彼が良い。(飯田達郎さん)
キャラクターを作るとき、どんな人たちをモデルにしたのだろう。
知的障害を持つ人が頭をよぎった。彼らは私たちには感じないもの、見えないもの、聞こえないものを受け取っていて、彼らのペースがある。
純粋な人なら、ますます純粋で、愛おしかったりする。

英語のミュージカルって語る流れでつなぎ目なく歌い始める。日本語だとどうしても歌うリズムと話すリズムが違うから突然歌い出すようになってしまう。

でも本作では、カジモドの歌声と話し声は異なる。歌声は心の声、内に秘めた感情を表すから、役者さん本人の美声を響かせる。歌の序盤は話し声で、次第に美声になっていく。これが気持ちよくて、歌の力を借りて自分を出す。こういうの弱いんだよねー。飯田さんはじめ、きっと他の役者さんも、自然に歌い始める、という点を特に気にかけたのではないかな。飯田さん、とっても良かった。

爽やかイケメンに戻るところずるい。

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【ネタバレかも?そのに】

プロローグ中、カジモドの名前を呼ばれるときにカジモド役をする役者さんがスッとした姿勢で現れ、
「なにが違うというのだろう?」
と歌いながら顔に黒い「汚れ」をつける。

物語の一番最後で、アンサンブルからメインキャストまで順々に顔に同様の化粧をする。個性的な振り付けとポージングに合わせて、流れるような美しい動きで。
それらは全て異なり、芸術的で美しいと感じた。つまり「汚点」とか欠点といわれるものが、個性や美しさというもので昇華されたように思えた。
ここ、コンテンポラリーダンスっぽかった。


結末、つらい。衝撃的。

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2回目の鑑賞の友人と行った。
以前の東京公演と比べて演出がところどころ異なっていたらしい。ほうほう。
次に行く時までに、今回の公演を復習しておき、サントラもしっかり聞いておこう。

というか、これ、映画化されてない舞台の感想はどこに記録しよう。
ちゃこ

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