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瀬戸内少年野球団のBaadのレビュー・感想・評価

瀬戸内少年野球団(1984年製作の映画)
1.6
見ている時は楽しかったのですが、見終わってみると微妙な映画です。朝ドラのごとく時系列に従って事件が起きるだけで、役者の演技と、今よりは過去からの蓄積を保持していたらしい裏方さんの仕事の確かさ、に寄りかかっただけの演出、はっきり言ってこれで2時間超は工夫が無さ過ぎると思いました。

これが遺作となった夏目雅子さんは演技も美しさも非の打ち所がありません。これがデビュー作という渡辺謙さんと亡くなった伊丹監督の存在感、未だ若かった岩下志麻さんの美しさと着物の着こなしと演技、野球団の少年バラケツを演じた大森嘉之の存在感と自然な演技の素晴らしさ(これはもう、ほとんど神業で、こまったことに彼と岩下さんが並ぶと夏目さんも霞んでしまう)、時代的にロケで戦後の再現が出来たという好条件、という様々な長所を勘案しても、脚本や演出が弱すぎるという印象を持ちました。

それと、日本が空前の好景気に向かう上り坂の時代に製作されたためかもしれませんが、戦争に負けたということの捉え方が少々甘いのではないかと気になりました。

級長を演じていた山内圭哉さんは「マイ・バック・ページ」にも出ていましたが、良い役者さんになりましたね。

ロケ撮影がいまいちなのか、淡路島という設定のはずが、小さな離れ小島に人がわらわら住んでいる、みたいに見えてしまい、不思議な感じがしました。

(2012/3/28記)
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