カトヤン

ブラック・レインボウのカトヤンのレビュー・感想・評価

ブラック・レインボウ(1989年製作の映画)
4.2
降霊術を行いアメリカ中を行脚して回る親子。
この映画のジャンルはオカルトエロティックサスペンスと呼んでいいのか。

この映画がうまいのは最初に降霊術がインチキではないかと思わせる所で、
的外れな予言をしつつ実は、、、というのが後に明らかになり、予期せぬ展開になっていく。

この監督は俳優の感情を抑制・コントロールするのが恐らく得意というか好きだと思うので、映画はあるトーンで統一されてます。イギリス人マイク・ホッジスらしい皮肉が盛り込まれている。
ロザンナ・アークエット演じる少女の孤独が浮き彫りにされ、事件を追う記者、そこへ殺し屋が絡みあい映画は異様なトーンになっていく。(殺し屋の家庭がよき父親として長めに描かれれるシーンも変だった)

作品中に少し描かれる日本からアメリカに輸入され駆逐不可能な程に繁殖した葛(くず)のように、生きた人間ではどうすることも出来ない力と世界がある。
ロザンナと葛を重ね合わせ、人間をちっぽけな存在としてあざ笑う終末思想が漂う。
憂いを帯びたロザンナ・アークエットが素晴らしい。
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