私は「劇場版」という言葉に、「デカいハコでやるTV」という逃げの意味が少なからず含まれているんじゃないかという印象を持っていて、この「映画 けいおん！」が、敢えて劇場版という言葉を使わずに映画を名乗っていることが、まず大したものだと感じました。そして、意外なことに、TVシリーズものの延長と思って舐めてかかっていた本作は、なんと堂々たる映画として成立していたのです。これは、恐るべきことでした。
けいおん！のTVシリーズは、ちょっとオチャラケが過ぎていて乗れなくて、なんとなく見るのをやめちゃった口だったのですが、この「映画 けいおん！」は、たしかな作画力に支えられ、各キャラクターのバックグラウンドがきちんと伝わってきて、ロンドン旅行という小さな冒険をエッセンスとし、「本当に大切な時間を過ごしてきたんだなあ」という感動の収束を、ラストのあずにゃんへの歌で知らしめてくれました。TV中途半端組どころか、TVシリーズを見ていなくても、彼女たちがいかに大切な時間を過ごしてきたががよく伝わる構造になっていたと思いました。コンパクトでダイナミックにまとまっている。これが素晴らしい。
新年早々、いい「映画」を見たものだと思いました。
