開明獣

ヒートの開明獣のレビュー・感想・評価

ヒート(1995年製作の映画)
4.6
尊敬するフォロワー様のお一人、takさんから教えられて。

本作の評価が高いのは、デニーロとパチーノの競演だからということは、勿論あるのだろうが、それだけではない“何か"を持った作品。

「ジョジョの奇妙な冒険」は連載時からフォローしていて、その以前の作品含めて,荒木飛呂彦氏の作品を好んできたのだが、同氏がこの作品を強く推す訳は、観賞後によく納得出来た。この作品の世界観と荒木氏の作品の世界観には既視感にも似た心地よい共通性がある。

僅か2時間の中にストーリーを詰め込まなくてはいかないのだから、プロットを完璧に設定することなど出来はしない。必ず穴は出来る。そういうプロトコルの元で、映画は制作されているのだが、優れた作品は例外なく、穴があっても、なお余りある"何か"を持っている。それは、キャクターの魅力であったり、最後のどんでん返しだったり、粋なセリフだったり、多種多様だ。

本作にも、個人的には大きな穴をいくつか感じたが、それが作品の魅力をスポイルはしていない。ここにある、荒木飛呂彦氏をも魅力した世界観に引き摺り込まれてしまえば、そんな穴など些細なものだ。

冷たくて熱い。熱くて冷たい。相矛盾する両極性が、ごっちゃになって、ひりつくような感覚をもたらしてくれる。観賞後もそのひりつくような感覚の余韻は容易には消えなかった。映画を観る醍醐味を満喫できる傑作。ご紹介してくれた、takさんに感謝したい。
開明獣

開明獣