Tラモーン

ヒートのTラモーンのレビュー・感想・評価

ヒート(1995年製作の映画)
3.8
長尺故、尻込みしていた作品を年末年始休暇の最終日に!


舞台はロサンゼルス。ニール・マッコーリ(ロバート・デ・ニーロ)率いる強盗団が周到に練られた作戦で白昼現金輸送車を襲撃する。狙いは麻薬カルテルのマネーロンダリング請負人の無記名証券だった。強盗団は警備員3人を射殺し逃走する。捜査を担当することになったLA市警ヴィンセント・ハナ警部補(アル・パチーノ)は、現場に残ったわずかな手掛かりから強盗団の1人を割り出すことに成功。次々と一味を割り出しニールの存在に辿り着く。


デニーロvsパチーノ!
ハリウッドのマフィア/クライム作品の代名詞とも言える名優同士の激突は見応えたっぷりだった。

"30秒フラットで高飛びできるよう面倒な関わりは持つな"

"孤独な思いが仕事への緊張感を保つ"

片や犯罪のプロとして、片や刑事として、アウトローに生きる男同士のプライドと執念の戦い。

ストーリーはそこそこベタでありながら、さすがに3時間もあるのでニールとヴィンセントのキャラの作り込みがしっかりしている。
孤高のニールはプロとして必要最低限のみの人間関係の中で生きてきたが、1人の女性と出会うことでほんの小さな綻びが生まれる。
ヴィンセントは優秀な刑事だけど、仕事に取り憑かれていて3度目の結婚ですら破局危機。ただし連れ子の娘にはとにかく優しい。

この2人が静かにバチバチ火花を散らすカフェのシーンは圧巻。アル・パチーノとロバート・デ・ニーロが向かい合って座ってるってだけでも凄いのに、なんだこの演技力。

"別の生き方って?"
"探す気もない"
"俺もだ"

お互いへの静かなる宣戦布告。痺れた!

その他ニールの部下のキャラ設定もしっかりしていて、その辺りのサブドラマもなかなか深かったりする。

そしてすっごいのは市街地での銃撃戦!実際の銃火器の音声を使用したというこの長尺シーンは凄まじい迫力。大勢の警官を相手に重機関銃で応戦するニール一味と、ショットガン手にニールを追うヴィンセント。わかりやすいフラグを立ててた犠牲者が結構な味を出してる。

唯一愛した女性を連れ、高飛びの段取りを付けたニールが空港へ車を運転するシーン。

"もうすぐ自由の身だ"

トンネルに入った瞬間、ライトにより真っ白く照らし出された一瞬、ニールの心は未来ある真っ当な人生を手に入れようとしたのかもしれない。

しかし悲しいかな、闇の世界を生きてきた男は変わることはできなかった。

ヴィンセントの目論みどおり迎えた空港での最終決戦。これまた凄い緊張感…。なのにこのあっさりした終わり方はなんだ…。
3時間かけて紡いできたストーリーがこの終わり方でいいのか…とも思うけど、濃厚に生きてきた人間の終わりほどこんな呆気ない最期なのかもしれないな。

結局2人は似た者同士なのかと思わせるかの握手がまた切ない。


めちゃくちゃ期待し過ぎてしまったってのが正直なところ…笑。
でもドラマとアクションのメリハリがかなりあったので、そこまで多くないアクションシーンが際立っていたのは上手いなと感じた。

ナタリー・ポートマンは本当天使か😇
Tラモーン

Tラモーン