けーはち

ヒートのけーはちのレビュー・感想・評価

ヒート(1995年製作の映画)
4.0
他人にはマジメに生きろと諭すくせに自分は仕事熱心のあまり三度離婚、私生活は崩壊し誰も幸せにできない敏腕刑事のデニーロ。クールで有能、威厳高く悪事をこなす孤高のリーダーながらも自分を慕う仲間や女には愛を持って接するマフィアのパチーノ。鏡合わせの対照性、不倶戴天の敵ながらも、最高の理解者──「強敵」と書いて「とも」と読む男たちの激闘のドラマ!

デニパチが『ゴッドファーザー』ぶりに共演。豪華キャストで送るマイケル・マン監督の名作クライム・アクション。170分は長いが、それに見合うだけの重厚さだ。今どきの映画のテンポからすると、「悪党が部下の夫婦喧嘩の仲裁したり家族ぐるみの付き合いしてるシーンなんてのは本当に必要か?」ってなりそうなもんだが、親しい仲間や家族、或いは恋人と胸襟を開いた男たちの本質を描き、その積み重ねが両者への感情移入とともに、最後の最後までどう転ぶか分からない緊張感を残すギリギリの鍔迫り合いに繋がる。

ラストシーン、空港で一瞬飛び立った飛行機からのライトのきらめきが勝負を分け、その後、片方が事切れる瞬間に敵味方の別なく1人の男と男として向き合う結末は最高に切なくカッコ良い。

刑事の娘役に『レオン』の1年後くらいのナタリー・ポートマンがいて「もう〜〜💢この娘を悲しませちゃダメでしょ💢絶対ダメ💢💢💢」ってなるのだが、あんなことになってしまって……😢(感情移入ハンパねぇ)。