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オリーブの林をぬけてのENDOのレビュー・感想・評価

オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)
4.2
ミニマルな反復に酩酊するphase3の世界。幾重にも繰り返されるtake数。ホセインが恋するタヘレに徹底的に無視され続けながらプロポーズし続ける様が凄まじい。氷の心。ページをめくる合図の有無に凝集する彼女なりの意思表示。演出の引き算の極み。だからこそ一度だけ邂逅する彼女の正面の顔の戸惑いに引き込まれてしまう。前作『そして人生は続く』からさらに一段カメラの視点が高くなる構造。地震から1日後に結婚した夫婦のストーリーの裏で流れる固執する男の悲痛な告白?独白?が続いていく。文盲コンプレックスもやばいけど、ホセインの内なるhaterが彼女に向いたら怖い。扉から垣間見える家の中に生い茂る木の神々しさ。終盤の超ロングショット。往路のジグザグから復路の直線の意図は?前々作の主人公アフマドプールを探す旅の映画にアフマドプール自身が見学に来る。画面は淡々としているのに混乱と狂騒にまみれ、痺れる。三部作でありながら全く違うテーマ(1部:juvenile→2部:road movie →3部:love story)にも関わらず、歯車が噛み合わない遣る瀬無さとおかしみに溢れる人間賛歌に他ならない。画面に映り通り過ぎて行くものに身を任せよ。
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