純

読書する女の純のレビュー・感想・評価

読書する女(1988年製作の映画)
4.7
好き嫌い分かれるだろうけど、読書も朗読も大好きな私にとってはものすごくタイプの作品だった(朗読に関しては上手くはないから聴く側だけど)。私の好きな要素がたくさん詰まっていて、まさに発掘良品といった感じ。

総評としては、知性って色気だよなあ、と改めて感じる作品で、きちんとしていて清楚なイメージのある読書と、性を感じさせる色気の相性って抜群だと思った。声の綺麗な主人公が朗読を生業として様々なひとと出会う、ただそれだけの話なんだけど、魅せ方が巧みでずるい。ミュウ=ミュウも可愛くていやらしくない色気を纏っていて、こんなあざとい女の子になってみたかったな、なんて考えてしまう(笑)だって、後半は指定の本を読む形だったけど、始めは自分で本をチョイスして、あんな綺麗な声で美しくて刺激的な文章読むんだもんね。あざといです。でもそういう、一種の子どもっぽい好奇心も彼女の魅力だと思えちゃうから、チャーミングな女の子は無敵だなと思う。

画の切り取り方も本当に芸術的で、色合いや会話のひとつひとつがとてもお洒落。赤や青のビビットカラーが街中に映えているし、洗練された言葉たちは主人公の魅力をより輝かせている。「恋するひとも学者も猫が好き」って台詞なんか、私はとっても好きだった。

少し危険な色気と子どもっぽい愛くるしさが共存してる、罪な女の子の知性とエロスに酔いたいひとにはぜひ観てほしい。たくさんの本の文章が引用されるから、読書好きなひとも楽しめるんじゃないかなと思う。こういう作品をもっと観たいなと思わせてくれる1本だった。
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