この映画におけるマッコイは、劇場版どらえもんにおけるジャイアンです。
よく言われることですが、劇場版どらえもんの萠ポイントは、普段はいじめっ子（最近のＴＶ版はちがうみたいですが）のジャイアンが、みんなのためを思って男気を見せたり、いつもは冴えない男・のび太がしゃんとするところにあります。
ＴＶ版でくりかえされる親しみのある日常。そしてその殻をやぶる劇場版。そこに感動があります。
本作では、いつものメンバーによる「日常」の航海とは違います。カークたちは友を救うために命令を無視して、エンタープライズを発進させます。そしてなにより、普段「日常」のなかで、あれだけスポックと舌戦を繰り広げたマッコイが、スポックのためを思って行動します。目を覚まさないスポックに対してマッコイが言う
「君がいないと寂しいよ」という台詞で、スタートレックファンは、ごはん３杯はいけますよね。
映画は作品単体で楽しめるのが基本だと思います。しかしエピソードを重ねることでしか到達できない感情もあります。
ドラマで「日常」を描き、そこから脱却する「非日常」の物語を表現できること。そこがテレビドラマの映画化の最大の魅力であることを再確認しました。
だからまあ、ちょっと演出が雑だとか、あれが迫力がないとか、映画1本の感想としては、ごもっともなんですが、やっぱりスタートレックはトータルで見て欲しいですねえ。そりゃ多すぎてみるの大変ですが、観れば観るほど面白いのです！
