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クリクリのいた夏のkouのレビュー・感想・評価

クリクリのいた夏(1999年製作の映画)
4.0
《豊かさや自由》
人生における豊かさとは何か、自由とは何か、それはこの映画を見れば答えが出るかもしれない。とても穏やかで、それでいて決して癒やしの映画で終わること無く、人間の日々の生活や、豊かさというものを描いた作品だった。監督はジャン・ベッケル。

第一次世界大戦後のフランスの田舎が舞台。復員兵であるガリスが、ふとしたことをきっかけに沼のほとりで暮らすことになる。そこの近くに住む家族の父親リトン、そして人付き合いの苦手なアメデ。彼らの生活を、リトンの娘、クリクリが思い出を語るように進んでいく。

ガリス達は自然の中で生き、働き、そしてその中で楽しんでいく。唄を歌い、酒を飲み、食事をするのだ。鈴蘭を摘んで売ったり、エスカルゴを取りに行ったり、カエルを釣ったり、そんな彼らの姿を見ているだけで楽しいのだ。その彼らの行動を見ていると、観ているこちらまでなんだか自由な気分になれる。ガリスやリトン、アメデのキャラクター的な愛おしさもあり、平和な一作だと思う。また、ラストシーン、切ないながらも感動的な終わり方がとても良かった。
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