Mikiyoshi1986

薔薇のスタビスキーのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

薔薇のスタビスキー(1973年製作の映画)
4.0
フランス映画の巨匠アラン・レネ監督と、同じく20世紀のフランス映画を代表する名優ジャンポール・ベルモンドがタッグを組んだ史実映画。

30年代のフランスで起きた詐欺事件が発端で露呈した、フランス政界を揺るがす一大汚職スキャンダル「スタビスキー事件」。
その主要人物であるロシア人詐欺師アレクサンドル・スタビスキーをベルモンドが好演し、謎の死を遂げることになる彼の最期を重厚に描きます。

レネ監督の威厳に満ちたショットはシーンの一つ一つに品格を与え、同年代のベルトルッチ作品のそれにも劣らぬインパクトで観る者を魅了。
また、当時を象徴する衣装はイヴ・サンローランが手掛け、華美な暮らし、美しいロケーション、優雅さの中にもファシズムの影を匂わせるうら寂しい雰囲気を漂わせます。

本作は同時期にフランス亡命中の身だったトロツキーと対比させ、間接的な歴史変動を印象を付けた創作も見事であり、
ジョセフ・ロージー「暗殺者のメロディ」と併せて観るとより史料が広がって面白いかも知れません。

そして明日はアラン・レネ監督がこの世を去ってちょうど3年。
フランス人というアンデンティティーの下、「フランス」をあらゆる側面から描いてきた偉大な映像作家アラン・レネに哀悼の意を込めて。
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