ケンヤム

蘇える金狼のケンヤムのレビュー・感想・評価

蘇える金狼(1979年製作の映画)
4.6
成り上がりという幻想をひたすら追い求める主人公。
彼は、昼は普通のサラリーマン、夜は暴力的な一匹狼のギャングという二つの顔を持っている。
そのような設定で、浮き彫りになるのは人間の二面性だ。


主人公は女を愛するが、同時にその愛に縛られてもいる。
会社の重役たちは、表向きは企業の役員として生きているが、裏でやっていることはヤクザのやっていることと変わらない。
主人公は、会社の重役を憎み軽蔑しているが、野望に向かって突き進むうちに憎み軽蔑している会社の重役とやってることがあまり変わらなくなってくる。


それでも、突き進む主人公の姿は切なくもあり、愛おしくもある。
ジュピターまであとどんくらいだ?
というセリフに集約されるように、彼は自由になりたかっただけなのだ。
あの切ないラスト。
人間の業を肯定してくれるような映画。
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