ウシュアイア

幸せはシャンソニア劇場からのウシュアイアのレビュー・感想・評価

3.8
(2009年9月6日鑑賞@シネスイッチ銀座)
ナチスドイツが台頭しはじめる1930年代のパリ。
パリ郊外のミュージックホール・シャンソニア劇場は不況のあおりを受けて倒産してしまう。人手に渡ってしまった劇場を取り戻すべく,劇場の仲間たちが立ち上がり,公演を再開しようとする。


フランス映画というと,娯楽性を追求したハリウッド映画と対比してどちらかというと芸術性を追求した作品が多く,スケールもこじんまりとして,映像も淡い感じというイメージなので,観ていても退屈してしまうことが多かった。

しかし,この映画はフランスという土地がもつレトロな芸術性と大衆芸能としてのミュージックホールの世界の華やかさがうまくミックスされ,ハリウッド映画ではつくれない「素敵な」映画だった。

舞台は町のミュージックホールということで,作品の世界はそれほど大きくないものの,その分ディテールにこだわりが感じられる。また,戦争の影が忍び寄る時代ということもあり,ところどころに政治や世相を風刺するシーンも織り込んであり,アメリカンジョークとはまた一味違うフレンチジョークも小粋だった。

ミュージックホールを舞台にした,スタッフ・出演者たちの歌への情熱,恋愛,家族愛,笑いあり涙ありの素敵な作品だった。
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