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幸せはシャンソニア劇場からのkyonのレビュー・感想・評価

4.0
ふらっと気になる映画を観ることって幸せです。

予告編で気になって鑑賞。
ドイツ・フランス・チェコ映画みたいで1930年代を舞台にしたシャンソン映画。
これミュージカルシーンが『ラ・ラ・ランド』とちょっとだけ似てたんだけど、デミアン観てるのかな…!

ミュージカルはもともと好きなジャンルでよく観るけど、こちらは人間ドラマと歌が合わさってすごく素敵。パリの失業者たちによるミュージカル、作中で観てる観客を超えてこっちまで元気もらえる。

1936年パリ、シャンソニア劇場で幕引きとして働いていた主人公ピゴワル含め、劇場関係者たちは突然年が明けると共に職を失う。劇場が資金繰りの悪さで潰れてしまったから。
ピゴワルは劇場の女優と夫婦でジョジョという息子もいたが、彼女の浮気が原因で息子と2人暮らし。

息子がね、子供ながら凄いいけめん。笑
しかもお父さんに懐いていて、健気。アコーディオン使って道端でなけなしのお金稼いでお父さんに内緒で色々助けてるあたりがもう泣ける…。

でもジョジョの活動が知られてしまい、未成年のジョジョは失業中のピゴワルではなくお母さんに引き取られてしまう。
そこで、彼はシャンソニア劇場のオーナーとして定職につくために、かつての仲間たち数人と劇場を再興しようとする…までが大筋かな!(長い笑)

この作品、ヒロインのドゥース(歌手志望)とピゴワルの仲間の青年、ミルーとの恋愛模様が縦軸、ピゴワルとジョジョの親子模様が横軸として織りなしていて見応えがすごい。

しかも、ドゥースやピゴワル含めたキャラクターの魅力的な存在感。

面白いのは敵対する不動産オーナーのギャラピアも、すごく人間味があって、ドゥースにかなり惚れ込んでるのがわかる。なんか悪役がヒロインに手を出すのって本気ってより、良い女はべらせたいとか愛人の1人として、みたいな印象があるけど、ギャラピアはやってることは意地悪だけど、なんか憎めない。

あとはなんといっても作品全体のパリの街並みが…うっとり。
ミュージカルシーンもザ・劇場!!って感じでもう幸せ!!

ピゴワルがジョジョにも会えず、劇場再興も1度はうまく行かず…どん底、みたいな状態で、ぽつんと家具もほとんど差し押さえられた部屋に1人腰を下ろしてるカットのあとにジョジョとの再会は涙が勝手に…笑

あのカットすごく印象的だった。
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