あしたか

第9地区のあしたかのレビュー・感想・評価

第9地区(2009年製作の映画)
4.4
[再鑑賞]


[あらすじ]
エイリアンが飛来したヨハネスブルグ。だが彼らは抵抗するでもなく、市街から離れたスラム地区に隔離されてしまう(huluより)

社会派映画でありながら娯楽性も高いエンターテインメント作品。
宇宙人が難民という設定が他のSFと一線を画している。


前半はほとんどドキュメンタリーの作りで、宇宙人の暮らしを間近に追っていく。このパートのリアリティが凄まじい。
宇宙難民たる宇宙人たちが暮らす貧民窟の迫力、治安の悪さ、汚らしさ、時にグロさなどが生々しく伝わってくる。
宇宙人という難民たちに対して地球人側が行う差別の描写にも注目だ。これは全編を通して展開される。

テンポが非常によく、二転三転する物語には全く飽きることがない。

中盤に人体実験等の怖い描写を挟みつつ、後半は宇宙人の兵器を駆使したアクションが展開される。
このパートは主人公とある宇宙人の友情にスポットを当てた非常に熱いストーリー展開になっているのが見所。
主人公が覚悟を決めてボロボロになりながら孤軍奮闘する終盤のシークエンスは感動ものだ。また様々な種類の武器が活躍する戦闘シーンには心躍る。
それでいてハートウォーミングに〆るオチがまたニクい。

非常に知的で社会的な問題提起をしながら、ワクワクさせるアクションもある盛り沢山仕様。
面白さというものが凝縮された秀作だと思う。
あしたか

あしたか