地球に漂着した「エビ」と蔑称されるエイリアンは南アフリカの第9地区に隔離され、軋轢はありながらも人類と共生している。
設定だけで異星人をモチーフにした、難民移民および階級社会などを説教くさく描いた社会派ブラックコメディを想像してしまっていたが全くの誤解。
どちらかというと比重はアクションに置かれており、その描写も非常にハイクオリティ。何より「エビしか使えない超強力武器」「その武器を使えるようになるため、同化思想をもった人類マフィア」などなどフィクションながら納得感のあるルールや設定がぽんぽんと繋がり、勢力図の追加や二転三転の展開を起こしていく様がとにかく気持ちよかった。
演出や低予算に対して超ハイクオリティの美術造形などからつたわる、エンターテイメントとして観客を楽しませようという気概に安心して全乗っかりできる。
人間社会の愚かさを再実感する社会的メッセージは、そんな中にさりげなく添えられてる程度のクールな温度感なのであまりそこは粒立てずに、シンプルに楽しんだ方がよい作品だと思う。