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第9地区のaikidoのレビュー・感想・評価

第9地区(2009年製作の映画)
4.5
アパルトヘイトや難民問題であったり、人間は自分と異なるものを受け付けず、排除することは歴史が証明していますが、そういった人種差別等のシリアスなテーマをエイリアンというモチーフを上手く使って表現し、見応えのある物語に落とし込んだのが素晴らしいと思いました。
アパルトヘイトは廃止されましたが、黒人の差別は今もなくなっていないので、そういった社会問題を映画のテーマとして描き、観賞者に考えさせるような構成が素晴らしく、娯楽作品としても面白いですし、メッセージ性も強く、非常にクオリティが高い作品でした。
差別する側だった主人公が感染し差別される側に変わっていき、自分達の過ちや愚かさに気付いていく展開も斬新で見応えがありました。

ストーリーだけでなく映像や作り込まれたエイリアンのヴィジュアル、デザインが魅力的で画としても魅力的で見応えがありました。
エイリアンの表情やスラムのリアルさも映画の説得力を高めていると思いました。

色々解釈出来そうなラストですが、僕が思ったのはラストに出てきたシーンは主人公で、今でも奥さんを想っていて奥さんに届ける花を作っていたんじゃないかなと解釈しました。

人間が一番残酷で愚かだなと改めて思わされますが、異人種間の友情という希望も描かれているので、そういった輪が広がれば時間は掛かるかもしれないですが、差別もなくなるんじゃないかなと感じました。
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