Jeffrey

サードのJeffreyのレビュー・感想・評価

サード(1978年製作の映画)
4.5
「サード」
‪冒頭、関東朝日少年院。起床と少年が発し廊下に一列に並ぶ少年ら。挨拶、掃除、臭い飯、黙祷、単独寮、面談、運動、祭り、喧嘩、殺人、そして野球…本作は東 陽一が監督し、寺山修司が脚本し主演を永島敏行が務めた大傑作の青春ドラマで大好きなATG作品の一つだ。冒頭数分後の手錠シーンに‬執着してる部分が目立ち、またラジオ体操の場面で一人だけ皆と真逆の順に体操するシーンは決して規則正しい教育を成されてないと訴えてる様な…またその場の気持ちを短歌にし詠う少年や新入りがきて、主人公との関係性が判明し、広がる物語など徐々に引き込まれてく物語は求めるものが無い死んだ町から出‬て行きたい少年少女が身体を売る方向へ行き処女を解放し仲間と練習、後に街で男を探しヤクザと絡み、殺してしまう青年…鉄格子の中と外の描写が交じり展開する本作は立ち塞がる大人達と対立する世界を描き、終盤、脱出する奴、自殺する奴、只管走る奴…中でもサードの母役でちょい役した島倉千代子の印象‬が強かった。既に小学生の頃に観たIWGPに出演していた森下愛子の若い時の美貌とヌードには本作を初見した数年前に改めて驚いた。劇中の短歌は正に脚本担当の寺山を彷彿させるし、役者一人一人が印象を残す芝居をする。神輿を担ぎ海の中に入る描写は印象的。また全編に田中未知の音楽が絶妙に流れ良い。‬都会を夢見た男女高校生の代償は計り知れぬ、非行少年のレッテルを張られ親は自分の子の悪さを悪友のせいにする…野球の三塁手の彼を軸に展開される中と外の世界、夢想し女をレイプ、野球する自分等が映る。本作は存在しない九月の町へ走り続け、自分のホームベースを目指す青年の青春をリアルに描いた傑作だ。‬東陽一監督がATGに残した傑作中の傑作。これ何が凄いって少年院と言う縮図の中の日常タッチが凄絶で稼ぎの為に売春をする同級生をヤクザから守る為、少年が殺人を犯し少年院に送られる出来事を回想を交え展開して行く作風を主演の永島、森下のナイーブな芝居が作品を印象的に仕上げてる。
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