くろねこヤマ子

放浪の画家 ピロスマニのくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

放浪の画家 ピロスマニ(1969年製作の映画)
4.2
この作品が
このビジュアルで
撮られていなかったら、
予告で惹かれなかったし
観ていなかったと思う。

そうしたら
ピロスマニという画家を
知らないままでいたはず。
知れて得したなという気分。

彼の絵が好きかと聞かれると
答え難いけれど、
光の加減、黒の分量、影、暗さ、重さ。
この映画そのものはとても好みでした。

ピロスマニの人生が
順を追って断片的に描かれる。
前後の繋がりは観る側に託され、
その程よい加減が心地良い。

映像は平坦で、左右対称な場面もあり、
非常に絵画的。
様々なシーンで出てくる
テーブルに集う人々は
ピロスマニの絵の配置そのもの。
監督の彼への敬愛ぶりが伺える。

シンプルに絞りこまれた画面は
詩的なものを感じたし、
とてもピュアなものにも思えました。

グルジア映画初見。
監督のギオルギ・シェンゲナラヤは
アレクサンドル・ドウジェンコ監督に
師事していたらしいので、
ドヴジェンコ監督のサイレント作品も
見てみたいたところ。(映像美)