キッチー

チョコレートのキッチーのレビュー・感想・評価

チョコレート(2001年製作の映画)
3.6
「ムーラン・ルージュ」のニコール・キッドマン、「ブリジット・ジョーンズの日記」のレニー・ゼルウィガーら強敵を抑えて第74回アカデミー賞(2002年)主演女優賞を獲得したハル・ベリー。最近はXメンやキングスマンとアクション系の映画に出演している彼女ですが、この映画では普通に頑張って生きている女性を演じており、新鮮でした。喜怒哀楽がある役柄なので、激しかったり、虚ろだったり、表現力がありました。ちょっとエロいシーンがあるのでR18でしたが...

刑務官をしているハンク(ビリー・ボブ・ソーントン)は父親の影響で黒人差別主義者だったが、1人息子のソニー(ヒース・レジャー)を口論の末、自殺させてしまう。その後、ハンクは、自ら死刑執行した死刑囚の妻レティシア(ハル・ベリー)と息子のタイレルに偶然出くわすのだが、タイレルは事故が原因で死んでしまう。子供を失い同じような境遇のハンクとレティシアはその後も度々会い、いつしか愛情が芽生えるが...
といったストーリー。

前半でハンクが自分の敷地に入った黒人の少年たち(ソニーの友達)を銃で、激しく追い払うところは黒人差別の象徴的なシーンでしたが、ハンクが父親に見せつけるような感じで、実は彼の優柔不断さが出ている感じがして嫌なシーンでした。優しい息子の死が彼を変えさせるのですが、優柔不断さゆえに、レティシアと交際を始めても、また変質するのでは?と心配になりました。

素顔のヒース・レジャーは初めてでしたが、「ダークナイト」の怪演が信じられない感じの好青年。優しい役だからでしょうか。でも、印象に残る演技は流石です。

今作は黒人差別に対する世代間での考え方の違いを浮き立たせ、アメリカ社会が差別と戦ってきた現実をしっかりと見せる一方で、親から子へ受け継がれる価値観を変えることの難しさを描いており、地味だけどしっかりした作品だと思いました。

ハル・ベリーはこの後、「キャットウーマン」でゴールデンラズベリー賞を受賞したのですが、この時の演技についても精一杯の演技で恥じていないと、受賞式に出席したという記事を見ました。どんな演技なのか、気になりますね。また確認してみようと思います(笑)
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