ベビーパウダー山崎

テロ2000年 集中治療室のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

テロ2000年 集中治療室(1992年製作の映画)
3.0
苦しい日々に打ちのめされて綱渡りの人生半ば、空いた時間にクリストフ・シュリンゲンズィーフ。ファスビンダー、シュミットの思いもよらぬ方向への過激な放射(魂)を憑依させて、その時代の表現として甦らせても、これぐらいがやっと。ペーター・カーン、ウド・キア、マルギット・カルステンセンを呼び出し、その姿を画面に焼き付ける努力は買うが、「映画」は精神論でなんとかなるものでもない
ギャーギャー騒ぐキチガイや障害者やナチスを他人事だと面白がるのも、こちらの体力がいる。無闇矢鱈に頭を吹き飛ばしたり、人糞を長々映したり、その悪趣味を今さら笑ったり興奮するような年でもない。先日も信号待ちでタンクトップ一枚のキチガイに「兄ちゃん、このクソ暑いのにジャンパーなんて着るなよ!」と急に話しかけられたが無視した。確かに暑かった、キチガイが正しかったら恥ずかしかったんだ。映画を娯楽として消費する時代は終わった。これからどうなるか不安定な己の人生を癒やしてくれる『天使の影』みたいな映画が見たい。