N4M30V3R

容疑者、ホアキン・フェニックスのN4M30V3Rのレビュー・感想・評価

4.4
面白いしすごい。事実が歪められ、大衆向けに味付けされて報じられるのが当然になっている世の中で、ショウビズとゴシップの頂点(ハリウッド)で撮ったフェイクドキュメンタリー(というか私の個人史上最も大規模なメディアレイプ。しかも自費)。私とて潜在的に新たなゴシップを求め、著名人が引きずり下ろされる瞬間を毎日豚のよう探している中で、セレブ本人が自身の職業(演技力と俳優人生)を賭け体当たりで描くスペクタクル社会の空洞。自分自身をネタにしているため政治的な主張がなくて良い。自嘲あり、フェイクだと分かっていても怖くなるような狂気の演技ありで、ホアキン・フェニックスのことますます好きになりました。“騙された人達”の中には激怒した人も多かったと聞いていますが、こんな作品がトップ俳優2名の製作で出てくるアメリカはある意味健全。吊るし上げる有名人を週替りランチのように探しては再起不能になるまで叩き続ける我が国の風潮と比べるとどっちが病んでるか分かりません。

ホアキンが俳優辞めてラッパーを目指すというストーリーであり、MOS DEFやDIDDYも出るのでその辺の文化が好きな人はさらに必見。なんとなくKanyeじゃなくて良かった(笑)。

※後日談を含めたスペシャルパッケージ(DVD等)が出たら買うかも。大手配給じゃないから難しいかな。
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