アーリー

007/ゴールデンアイのアーリーのレビュー・感想・評価

007/ゴールデンアイ(1995年製作の映画)
3.5
ピアース・ブロスナンボンドの一作目。
彼のボンド映画は初めて。

よくも悪くも90年代のアクション映画という感じ。冒頭のUSSR潜入のシーンはスパイっぽく、メタルギアのような雰囲気を感じる。また崖からダイブしてからの飛行機乗り込みシーンはぶっ飛んだ発想ながらも爽快感があり、とてもカッコいい。

中盤でカーチェイスがあるのだが、カーチェイスという書き方には?をつけないといけない。ここもかなりぶっ飛んでいる。
今作のボンドガール二人も綺麗どころが揃っているが、特に印象を残したのがファムケ・ヤンセン。あの細い体のどこにそんな怪力があるのかと疑いたくなる。いかにも007っぽい敵役。

けれども今作は007作品とは感じられない。それはひとえにブロスナン=ボンド像が印象に残らないからではないか。
世代的な理由もあるのだろうが、ダニエル・クレイグ=ボンドはクールで落ち着きがあり、そして何か闇を抱えているような冷徹な雰囲気が終始漂う。そのミステリアスな感じがとても好きで、ショーン・コネリー=ボンドにも同じようなものがある。
ロジャー・ムーア=ボンドは軽快なノリとコメディよりな雰囲気で、前者の二人のボンドと全く違うため、それはそれで良かった。(ジョージ・レーゼンビー=ボンドはあまり覚えておらず、ティモシー・ダルトン=ボンドはまだ未鑑賞なので触れることはできないが)それに比べてブロスナン=ボンドは闇が足りない。クールで落ち着きはあるのだか、それだけ。悪くはないのだが007かと言われるとそうでもない。今作の黒幕は006で昔ながらの戦友。そんな彼が敵に周りたびたびボンドに向けて、「任務か友か」と問う。そこでもっとボンドを掘り下げることができたはずなのに、今作ではイマイチ。任務か友か。国か自分か。これまたメタルギアのようになってきたが、この部分をもう少し丁寧に描写してくれたらもっとブロスナン=ボンドが印象づいたかも。
といってもこれがブロスナン=ボンド初の作品であり、これから彼にしかないボンド像が定着していくのだろう。
それを期待しながら次の作品も見ていきたい。
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