Wakana

マイ・プライベート・アイダホのWakanaのレビュー・感想・評価

3.9
リヴァー・フェニックスの命日に因んで。
彼が22年前の今日、ドラッグのオーバードーズで亡くなったことを思うと、劇中でコカインやっちゃうシーンを見て胸が痛んだ。

内容がわたしには難しく、ウィキペディアで補完することに。そこでこの脚本がシェイクスピアの『ヘンリー4世』と『ヘンリー5世』を何となく基にして書いたと知って、ようやく切なさがこみ上げた。
スコットはただの「若気の至り」で今までの男娼生活を見限って、ヘンリー5世のフランス王位継承よろしくアメリカの政界での活躍を期待させるような人生イージー・モードで幕を閉じる。一方マイクは、多分これからも社会の底辺で細々と生きながら、睡眠障害と自分のアイデンティティの罪深さに苦しめられる。失恋にプラスして正に踏んだり蹴ったり。

とても印象深いのは、初めと終わりにあった川魚の走流性を映しているシーン。なんだか魚がマイクみたいに見える。多分スコットは流れに身を任せて最終的に海にたどり着いてしまっても、(人間がそうしてきたように)環境の方を自分好みに改変して生き延びれるのだろうけど、マイクは本能のままに動物のように、流れに向かって泳いでいないと、最終的には環境の変化に耐えられなくて死んでしまいそう。

とにかくずっともの寂しい雰囲気があるんだけど、リヴァー・フェニックスの雰囲気がとんでもなく儚くて、そこが作品と綺麗にマッチしていい感じでした。
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