みおこし

マイ・プライベート・アイダホのみおこしのレビュー・感想・評価

3.5
リヴァー・フェニックスがもし健在だったら、今年で50歳。同い年の俳優さんでいうと、マット・デイモン、ジェレミー・レナー、イーサン・ホーク…。
彼らだけでなく、6つ年上のキアヌや、弟のホアキンが第一線で今も活躍している姿を見ると、リヴァーはどれだけの大物になっていたんだろうなと切なくなります。
彼がヴェネツィア国際映画祭で主演男優賞を獲得した本作を鑑賞。ホアキンも去年『ジョーカー』で同賞を獲得しましたよね、兄弟そろってすごい!

ナルコレプシー(睡眠障害)を抱えながら、ポートランドで男娼として生きる孤独な青年マイク。ある日、生き別れたまま行方知らずの母親がアイダホにいることが分かり、男娼仲間で富豪の息子ながら家出をしているスコットともに、母親を探しにアイダホへと向かうのだが…。

同性愛、近親相姦、売春など今観てもかなりショッキングな題材をいくつもはらんでいて驚きました。過酷なストリートの片隅で必死に暮らしながら、ひたすらに母親の影を求めるマイクの姿が痛々しくて観ていて本当につらかった…。それもあってなのか、相棒スコットへの友情にも恋愛感情にもとれる純粋な想いに胸を打たれ、ラストは思わず涙。心に葛藤を抱えていたリヴァー本人の姿もついマイクに重なってしまうのがなおさらつらいですね。
スコット役のキアヌも21歳になって父親の遺産を継ぐまでは何やってもOK!と好き勝手に遊びまわる放蕩息子っぷりがいじらしい前半と、彼なりの心情の変化と成長を経てガラリと雰囲気が変わる後半とで全然印象が違って、素晴らしい演技でした。

ポルノ雑誌の表紙になった青年たちが書店で雑誌の枠を超えて会話するファンタジー・シーンや、まるで写真集を見ているかのようなラブシーンの見せ方など、ガス・ヴァン・サント監督ならではの独創的な表現が心に残ります。つかみどころが難しい作品ですが、心に闇を抱えた若者たちが“見えない何か”を追い続ける、生々しく刹那的な青春映画でした。
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