RAY

マイ・プライベート・アイダホのRAYのレビュー・感想・評価

3.9
“ここにいる”


——衝撃的でした。

何が衝撃的だったのか。
こんなにも生命力の様なものを感じる作品だったなんて。
こんなにも愛を感じる作品だったなんて。
こんなにも現実を知る映画だったなんて。


この映画を観るきっかけになったのは、フォローさせて頂いている方のこの作品のレビューを読んだことです。
ここで紹介したいくらい、僕にとっては心を揺さぶられるレビューでした。
それから、少し間隔が空いて今の鑑賞になってしまったのですが、それでもそのレビューが思い出されます。
まずは、そのきっかけを下さったレビューに感謝をお伝えしたいです。


僕はリヴァー・フェニックスと言う人物をほとんど知りません。
『スタンド・バイ・ミー』に出ていたと言うことと、ホアキン・フェニックスのお兄さんと言うことくらいでしょうか。
それなのに何故だろう。
今は彼のことをよく知っている様な気にさえなっています。


リヴァー・フェニックスとキアヌ・リーブスが主演を務めた今作。
この二人を中心とした、若者の、いや、人の“生”を描いています。
たしかに、そこに映っているものは過激なものばかりだし、あまり好まれない方も多いかもしれません。
少なくとも、僕が言う“生”なんか感じないと思われるかもしれません。
だけど、僕は、ここに本当の人間がいたと思ったのです。


人は愛したいと思うし、愛されたいと願います。
「愛してる」と伝えたいし、「愛してる」と言われたい。
抱き締めて、体温を感じて、全身で愛を感じたいと思う。
それが人間だと思っています。

映画の中で、非常に印象的な台詞があります。


“この道は、どこまでも続く。たぶん、世界をぐるっと回っているのだ”


人の想いは巡ります。
感じて、伝えて、喜んだり、悲しんだり、後悔したり。
求めるものの根っこにあるもの。
それはきっと愛。
愛を求めては、迷い、そしてたどり着いて、また迷って、探す。


ここに映るリヴァー・フェニックスは決して、残像でもなければ記憶でもない。迷い人でもない。
リヴァー・フェニックスと言う一人の人間が、この映画の中に生きている。たしかに生きている。
そう思える程、彼や彼等を本当に愛おしく思える作品だと思います。


観て良かった。
RAY

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