もこもも

男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼けのもこもものレビュー・感想・評価

4.3
有名な日本画家・青観先生との出会いと芸者のぼたんへの思いやりを描いた男はつらいよシリーズ第十七作

人情味が溢れてたな...
ストーリーも綺麗に纏まっていて
人の醜さ、非情さが描かれるからこそ
寅さんをはじめとしたとらやみんなの
無償の愛がとっても胸に沁みてくる...
辛いことを抱えながらもそれを見せず
笑顔を絶やさないぼたんさんも素敵やし
なにより青観先生にグッと引き込まれた
渋みと哀愁が滲み出て粋な青観先生を
演じられた宇野重吉さんの方に
引き込まれたってのが正しいのかも
地元の県が旅の舞台なの嬉しい
役場の人たちの描かれ方も良かった

寺尾聡さんの実父である
宇野重吉さんが演じられた
青観先生がめっちゃ味のある役
最初はとらやの人たちをぞんざいに扱う
失礼すぎるじじいで腹が立ってたけど、
宿屋やと勘違いしてたこととか、
勘違いに気付いてからの対応とかで、
あっ悪い人じゃないなって感じたし、
ラストでめっちゃ胸が熱くなった
この作品で親子共演してたんやね

7万円貰った途端に青観先生に絵を描かせて
楽しく暮らそうっていう思考になったり、
お金に目が眩んで醜くなったり、
龍野での贅沢の暮らしをとらやに持ち込んだり、
好きになれない寅さんのシーンも多かった
手土産を持って、7万円を返して
挨拶に伺うさくらとはほんま対照的
ただ200万円を騙し取られた
ぼたんさんの為に我が身を考えず
必死になる姿には胸がジーンとする
ぼたんさんの為に必死になるとらやのみんなに
涙を流すぼたんさんにも熱くなった

「私幸せや、とっても幸せ
 もう200万なんかいらん
 私生まれて初めてや、
 男の人のあんな気持ち知ったん
 だから、嬉しい」

ラストがほんま大好き
寅さんの説教を真摯に受け止めて
ぼたんさんに牡丹の絵を贈る粋な青観先生も、
その絵を1000万円でも売らへんっていう
ぼたんさんの心意気も素敵で心温まったし、
めっちゃ幸せな気分にさせられた

「じゃあ仮にですよ
 あなたがもう一つの生き方をなすっとったら
 ちっとも後悔しないで済んだと言い切れますか?
 私この頃よく思うの
 人生に後悔は付き物じゃないかしらって
 あぁすりゃ良かったなっていう後悔と
 もう一つはどうしてあんなこと
 してしまったんだろうという後悔」
もこもも

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