Iri17

サブマリンのIri17のレビュー・感想・評価

サブマリン(2010年製作の映画)
4.5
レトロな雰囲気でモダンな若者のリアルを描いた作品。

ちょっとヤバめな少年と変わり者の女の子の不思議な恋愛を描いている。最近そっくりのドラマがあった。『このサイテーな世界の終わり』。

演出も面白いし、何より登場人物の内面や心情が非常に深く描かれている点が、他の青春映画よりも傑出した部分だ。
確かに、主人公とヒロインは変なやつだけど、誰もが共感できるような普遍性があると思う。ヒロインはそれほど美人ではないけど、童貞を捨てるためなら合格点という判断を下すのは、童貞を捨てないと人間ではないくらいの形成されたイメージ。主人公も最初はそのステータスのためにセックスしようとしていたが、どんどん愛に目覚めていく。
これは主人公の成長を描いたビルドゥングスロマンなのだが、年取ったらこんな事忘れてるかもしれないし、今は辛いから関係ないという心情が非常にリアルで、心打たれるし、他の映画とは一線を画す部分だ。

この映画は、恐らくニコラス・ローグ監督の『赤い影』をオマージュしているだろう。あの映画を観た人なら分かると思うが、赤いフードが振り向いたらおばさんだったっていうあの展開トラウマになるくらい怖いので、あんま真似しないで…

舞台がウェールズっていうのも珍しいし、ジメッとした映像と上手くマッチングしていた。
音楽もアークティック・モンキーズのアレックス・ターナーが多くを作曲しているが、彼の天才的な音楽が、独特な雰囲気にさらなる相乗効果をもたらしている。

青春映画としては、2010年代を代表する一本だと思う。
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