青山祐介

かくも長き不在の青山祐介のレビュー・感想・評価

かくも長き不在(1960年製作の映画)
4.0
『みごとな企画、演出、ヴァリ、ウィルソンの名演が≪かくも長き不在≫を成功させたものだが、さらに、その重厚さと美しさは、マルグリット・デュラスの功績によるところが大きい』クロード・モーリアック(フィガロ・リテレール紙)

原題:Une aussi lomgue absence 1960年 フランス映画
第14回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受章
監督:アンリ・コルピ(夜と霧/二十四時間の情事/去年マリエンバードで、の編集)
脚本:マルグリット・デュラス(愛人、ラマン/二十四時間の情事)
出演:アリダ・ヴァリ(第三の男/夏の嵐)
ジョルジュ・ウィルソン(フランス国立民衆劇場 舞台俳優・演出家)
挿入歌:「三つの小さな楽譜」
作詞:アンリ・コルピ
作曲:ジョルジュ・ドルリュー(軽蔑/柔らかい肌/恋のエチュード)
歌:コラ・ヴォケール(枯葉/モンマルトルの丘/さくらんぼの実る頃)
『三つの小さな楽譜/折りたたまれて/思い出の奥ふかく/
静まりかえって/ページがくられ/眠りに落ちていく/
ある日、声もなく/あなたの記憶によみがえる/
 あなたは忘れようとする/小さな放浪の曲を/すべては夢/
歌は終わり/君の歌は言葉を失い/始まる前に終った/
踊りの時間/繰り返しの間…』
ひとりの女の愛の記憶、そして生の記憶と不在の記憶…それらの記憶を、感傷をまったく入れることなく、淡々と描いたところに、この映画の深い悲しみがある。不在の記憶……戦争による不在にしろ、病気による不在にしろ、愛の不在にしろ、まずダメージを受けるのが「記憶」である。もし記憶が失われたら、わたしたちの人生はどうなるのだろうか…女は不在の時間を持つのではなく、不在の時間の中で生きる。
青山祐介

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