菩薩

かくも長き不在の菩薩のレビュー・感想・評価

かくも長き不在(1960年製作の映画)
3.9
ヴァカンスで浮かれる人々が去った街は空虚に満ち、その足音と歌声は微かに耳に届く。希望を持ち待ち続けた日々はようやく報われる、そう思いたいが為の焦り、その時愛は狂気へと姿を変え、追われる男は恐怖の記憶を呼び起こす。幸福な過去の切り貼りが祝福される未来へとは必ずしも続かない、埋める術無きかくも長き不在、ただ巡る季節を一つ、また一つと数え、妻は夫の帰りを待ち続ける、その名を付けたあの店で。脳が忘れてしまった記憶、身体に染み付いてしまっている記憶、思い出せない/忘れられない、思い出したくない/忘れたくない、そんな不確かな物を握りしめ、消せない傷痕とその痛みを知る。
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