めしいらず

かくも長き不在のめしいらずのレビュー・感想・評価

かくも長き不在(1960年製作の映画)
4.2
ゲシュタポに強制連行された夫を16年待ち続けた女の前に、ある日、夫に似た浮浪者の男が現れる。しかし彼は記憶喪失だった。夫だと信じたくて彼に付きまとう。性急に16年の空白を埋めようとする彼女の異様な剣幕。一方通行な思いの強さに彼は気圧されるばかり。ディナーのシーンからラストへの流れが凄い。彼女は彼を問い詰めずにはいられない。帰る彼の背中に彼女は思わず夫の名前を叫ぶ。そして彼がとった行動。戦争が残した心の傷跡の惨たらしさ。戦争の場面を描かずそれを強烈に感じさせる。彼は夫だったのかは最後まで示されない。
再…鑑賞。監督は「去年マリエンバートで」などレネ作品を担当した編集畑出身のアンリ・コルピ。脚本はマルグリット・デュラス。静かに淡々と語られるこの傑出した反戦映画が最近までDVD化されていなかったと言うことの驚き。この頃のフランス映画のレベルの高さったら!
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