『天井桟敷の人々』のマルセル・カルネ監督、ジェラール・フィリップ主演作品。
小顔の正統派イケメンながら何処か残念な空気が拭い切れないジェラールが、だからこそ良かった。
そして初めましてのシュザンヌ・クルーティエは色んな美人女優さんにちょっとずつ似ていてドレス姿がとんでもなく美しかった。
牢獄の中で恋人の夢を見る囚人がある村へと迷い込んだ。そこは誰も思い出を持たない“忘却の村”で、探し出したジュリエットも彼との思い出を全て失っていた…
発想は哲学的で斬新。美しいロマンスをベースに非現実的でありながら、何処か超現実的な味わいすら。そしてサスペンスフルでもある。とりわけ後半の階段のシーンのカットから後を追うシーン、ラストに向けてのハラハラ感は流石の見応えだった。
一歩間違えばチープにも辻褄が合わなくもなりそうな所を見事に纏めあげる監督の力量すら感じる。
そしてあのラストへ…
冒頭で既に見せられた物語のあらすじ通りとは言え、何とも深みを感じるところ。