tanzi

日本のいちばん長い日のtanziのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.4
2018年鑑賞時の感想
岡本喜八監督の傑作。

ポツダム宣言受諾要請をナァナァにしているうち広島長崎に落ちた原爆。敗戦を認めず本土決戦を叫びクーデターにひた走る陸軍将校。玉音放送までの二日間。
日帝の本質を突きつけられる傑作だった。その恐怖は現在も人を変え、実はまだ続く。最後のテロップに監督の怒りが込められている。

『太平洋戦争に兵士として参加した日本人 1000万人(日本人男子の1/4)
戦死者 200万人
一般国民の死者 100万人
計300万人(5世帯に1人の割合いで肉親を失う)
家を焼かれ財産を失った者 1,500万人』
会社から反対があっても岡本喜八監督はこのテロップを入れる事にこだわったという

首謀者青年将校の1人、高橋悦史演じた井田正孝は、終戦後は在日米軍司令部戦史課に勤務した後、電通に入社し、総務部長及び関連会社電通映画社の常務を勤めた。1955年になり、離婚して姓を岩田に復姓、岩田正孝とする。
敗戦後も一貫して、1945年時には本土決戦をすべきだったと主張していた。

現在、電通の所業は言うまでもない。多くは連綿と続いているのだ。

映画は仲代達矢のナレーションで終わる。

『今、私達はこの様に夥しい同胞の、血と汗と涙で贖った平和を確かめ、そして日本と日本人のうえに再びこの様な日が訪れない事を願うのみである。ただそれだけ。』

これを観たら、次は是非同じ岡本喜八監督の『肉弾』もご覧いただきたい。
tanzi

tanzi