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日本のいちばん長い日のbeans045のレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.0
阿南惟幾の苦悩と葛藤

終戦記念日が近付いていることもあり、オリジナル版の『日本のいちばん長い日』を鑑賞。三船敏郎演じる陸軍大臣の阿南惟幾がやはり見所。リメイク版の役所さんは優しい印象の阿南だったけど、オリジナル版の阿南は厳しい軍人というのが優しさの前に出ていたと思った。ナチスに勝利した連合国が枢軸国で唯一戦争を継続する日本。そこに突き付けられたポツダム宣言を受諾するかどうかをマスコミに問われた政府は態度を決めかね「静観」する方針にすると、マスコミが『政府はポツダム宣言を黙殺』と報道。古今問わず、マスコミの暴走で物事の真実を知れなくなり、犠牲になるのはいつも国民だと思った。しかも、その戦争の端緒もマスコミによる世論の形成から始まり、それに便乗した軍部の暴走、報道に熱狂した国民の声に応える形で政府が戦争を開始するに至ったということをマスコミはどう反省しているのか?世論をコントロールして、その責任を取らない姿勢は昔から変わらないだなと。熱狂から始まった戦争の責任を阿南は冷静に一人で取ったまさに最後の侍。下士官、将校達の「戦争継続」、「本土決戦」という突き上げと昭和天皇の「日本民族が根絶やしにされることを避ける」という聖断に板挟みになった阿南の苦悩が画面から痛々しいほど伝わって来た。8/15の未明まで玉音盤の争奪戦が繰り広げられていたのも、また終戦当日まで特攻が普通に行われていたというのも、狂気に見えた。その狂気の中、将校達が警官のような職場に就けるような道を探っていた阿南が、日本の将来を思いながら死んでいったのが、とても残念。反乱軍の首謀であ?畑中少佐は誰だろうと思ったら、黒沢年男が演じていたことにビックリ。
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