茶一郎

ミイラ再生の茶一郎のレビュー・感想・評価

ミイラ再生(1932年製作の映画)
3.7
サイレント映画時代からホラー映画を作り続けてきたユニバーサル・ピクチャーズが、「ドラキュラ」、「フランケンシュタインの怪物」に引き続き世に送り出したのは、今作の主役モンスター「ミイラ男」でした。
「死は新たな生命の誕生」今作『ミイラ再生』は、言わずと知れたあの「ミイラ男」映画の元祖になります。

今やすっかりメジャーな映画会社となったユニバーサルですが、何と驚くことに2017年に入り、古典モンスター版『アベンジャーズ』・MCUと言うべき「ダーク・ユニバース」というモンスター映画クロスオーバーを始動させました。そのダーク・ユニバースの記念すべき一発目が、今作『ミイラ再生』(原題『The Mummy』)のリブート作『ザ・マミー』になります。

さて『ミイラ再生』。これはオープニングの♪白鳥の湖が心に染み入るホラーというより、切ないラブストーリー。呪われた古文書「トトの書」とミイラが発見され、そのミイラがタイトル通り「再生」する所から物語は動き始めました。

画面一杯に映るシワシワのミイラ男扮するボリス・カーロフの顔面はトラウマレベルですが、やっていることは三角関係の恋の鞘当て。『キングコング』から始まり、日本では『ゴジラ』(1954)、そして今作、とモンスター映画が『美女と野獣』のような三角関係の恋愛劇になるのは、それがモンスターがモンスターになった悲劇とモンスターの叶うことのない切ない一途の愛を強調するからに他ならず、他のモンスター三角関係恋愛映画と同じく人間を描けてこそ哀愁のモンスターを描けるというものです。

この『ミイラ再生』のリブートが、あのエジプトお祭り映画の『ハムナプトラ/失われた砂の都』なんて、にわかに信じられない程、今作はミニマムで切ないラブロマンスでした。
茶一郎

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