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沖縄やくざ戦争のギズモXのレビュー・感想・評価

沖縄やくざ戦争(1976年製作の映画)
4.8
「戦争やろうじゃねえか!」
「戦争だ〜いすき!」

夏。
実録ヤクザ映画を観るのにぴったしな季節。
その実録ヤクザ映画の中で一番夏を感じさせてくれるのがこの『沖縄やくざ戦争』だ。

沖縄返還が目前に迫る頃の沖縄ヤクザの内部抗争と全国制覇を掲げる本土ヤクザとの攻防を描く、実際に起きた事件を基にした物語。
公開された当時は沖縄ヤクザと山○組が一触即発状態だったので、現地沖縄では撮影できなかった&上映されなかったという訳ありな一品。
 
理事長国頭を演じる千葉真一がぶっ飛んでる。
多分ヤクザ映画の中で一番ぶっ飛んでる。
『広島死闘篇』が若大将ならこっちはボス猿。
行動目的及び思考が終始「"ヤマトが憎い"」で一貫してる危ない奴で、開幕早々から本土から来た居酒屋を沖縄空手でぶちのめし、ナワバリを越えて商売をした舎弟の金○をペンチで潰し、本土のヤクザを轢いて轢いて轢き殺す。
その暴れっぷりは主演の松方弘樹がまともな奴に見えてしまうほどのすざましさ。
死に際も三点倒立と圧巻の演技を魅せてくれる。

千葉真一が退場となってからも、残った奴らによる血を血で洗う殺戮は続いていき、全員"タックルス"まで収まることはない。
『仁義なき戦い』では最後の一線を越えなかったのに対して(大体打本のせい)本作は穴掘らして生き埋め、ジープにくくりつけて引きずり回し、米軍基地から横流しした自動小銃で蜂の巣にしたりと、泥沼っぷりに拍車がかかっていて、松方弘樹も千葉真一が憑依したかのように怒りを剥き出していく。
終わりなき戦いを暗示するラストに鳴り響く沖縄民謡がとても物悲しい。

戦場となった地、沖縄に残る傷跡を力強く描き出した作品だ。

「俺たちゃ何十万のアメリカ軍とホンモノの戦争やったじゃねえか!」

https://youtu.be/qxnJ_MhlL3A

【おまけ】

https://youtu.be/5HNSVksntOs

数ヶ月前に見た動画
面白かったので転載
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