ほーりー

八月十五夜の茶屋のほーりーのレビュー・感想・評価

八月十五夜の茶屋(1956年製作の映画)
3.7
さて、やっとこさ500本目のレビュー。記念すべき節目のレビューにチョイスしたのが、知る人ぞ知るこの作品。

戦後直後の沖縄を舞台(といってもロケは京都とからしいが)に、あのマーロン・ブランドが日本人を演じているという珍品で、そして、我らが淀川長治先生(まだ40代!)がチョイ役で出演している。

「サヨナラ」「黒船」「東京暗黒街・竹の家」「二人の可愛い逃亡者」など、50年代のハリウッド作品には日本を舞台にした作品が多く、この作品もそのひとつ。

ストーリーは、民主主義の啓蒙と復興のために沖縄のある村に米軍兵士(グレン・フォード)が赴任する。
最初は米国製民主主義を村人たちに押し付け教育しようとするが、すでに村人たちは自分達なりの自主性や平等についての意識を持っており、次第にグレン・フォードも彼らに感化されていくというもの。

この時代のハリウッドにありがちなおかしな日本描写はあるものの、単なる日本観光映画になってはいない。

で、一番の問題点(というか笑っちゃうのが)は、カタコト日本語を喋る通訳サキニ君(どんな漢字だよ)を演じるマーロン・ブランド。

この映画を観て、“いかなる名優でも演じられない役がある”ということを知りました。

村人の前で民主主義について演説するフォードが「今のを訳してくれ」とブランドにふった時の、あのマーロン・ブランドの顔がマジになってるのが可笑しい。

そんな観ていて不安な部分はあるものの、それをしっかり支えてくれているのが日本側の俳優陣。
京マチ子はじめ、清川虹子、根上淳といった器用な役者さんが揃っているのでそこは安心感がある。

ちなみに淀川先生は、米の配給係というチョイ役ながらも台詞がある役。声を聞いた瞬間、「あ、淀川先生だ」とすぐわかるぐらい、この頃既に淀チョー節が完成していたことがわかります。

劇中、この配給係は、美しい京マチ子ばかり依怙贔屓して、他の女性群から反感を買ってしまうという役どころで、よく考えれば、女性にデレデレしてる淀チョー先生って激レアな映像かも。

■映画DATA==========================
監督:ダニエル・マン
脚本:ジョン・パトリック
製作:ジャック・カミングス
音楽:ソール・チャップリン
撮影:ジョン・アルトン
公開:1956年11月29日(米)/1957年1月22日(日)
ほーりー

ほーりー