りょーこ

鬼婆のりょーこのレビュー・感想・評価

鬼婆(1964年製作の映画)
4.8
仏教説話を元にした60年代傑作邦画

手塚治虫「ザ・クレーター」"巴の面"を思い出しました。

生きるか死ぬか
食うか食われるか

そんな時代に倫理もへったくれもない!

とにかく物凄くパワフルな作品☆



14世紀、南北朝時代。
戦で男衆のいなくなった芒ヶ原。

中年の女と若い女が落武者を襲い殺し、その武具を売って生活している。

そこへ"ハチ"という男が戦から逃げ帰ってきた。
中年の女の息子、つまり若い女の夫は戦死したらしい。

その後ハチは、若い女と逢い引きするようになる。

それを知った中年の女は、取り残されるのではという不安から、般若面を被り若い女を脅そうとするのだが……



『七人の侍』にもありますが、百姓だって生きていかねばならない。
ただの善人じゃないのです。

戦で男手を奪われ、農地を滅茶苦茶にされたら、残った老人女子供はどう生きるのか。

自ずと答えは出てくるのですよね。

それを14世紀の日本で見せるとは驚きました!
オープニングの"穴"からして不気味で最高!!

音楽も歌舞伎みたいな随所随所でドキリとさせるモノで、緊張感が微塵も途切れない。

まるで獣のような人間たちをまざまざと見せつけられる100分でした!
りょーこ

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