桐々凛々

鬼婆の桐々凛々のネタバレレビュー・内容・結末

鬼婆(1964年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます


戦乱の中、落武者狩りをして生きる嫁と姑。
田んぼも畑も失い、その日を飢えをなんとか凌ぐ。

倅はもちろん、近所の男達も皆、戦に駆り出される。
何が何だか分からず、大将達の都合で戦わさられる。

戦から逃れ帰ってきた近所の男、八。
八は久しぶりの日常を謳歌するも、悶々とし出す。
近所の嫁を誘い出し欲を満たそうとする。
それを知った姑が邪魔をする。

悶々としている八が暴れる様と、
夜、八に会いに走る嫁の姿が滑稽で面白い。

鬼のお面を手にした姑が鬼のフリをして夜道で娘を脅かし夜這いを阻止する。
娘を取られては、落武者狩りも出来ず生きていけなくなるので必死に守るが娘と八の関係は実ってしまう。ただ性欲を満たすためだけに、、
その様子をポツン見つめる、鬼のお面被った姑の姿がなんとも言えず面白い。


姑は鬼のお面が取れなくなり、娘に取ってくれと懇願する。
ワシらを邪魔したバチが当たったんだと大喜びをする。
なんとか取ってやるが、お面の下の顔も皮膚が剥がれ落ちていて鬼の様なかおになってしまっている。

娘は驚き逃げる。
ワシは鬼じゃない人間じゃーと娘を追いかける姑。


なんだか、人間の業を描いていて、深い作品の様にも思えるが、シュールで滑稽で面白い。
それと同時に、欲に愚直な人間達はどこかカッコよかった。
ステキな演出が多く、素晴らしい映画だった。

「どうした?」
「悲しい!!」
桐々凛々

桐々凛々